IN 3 LINES
- 外国人がごみ分別に苦労している動画をきっかけに、写真を撮るだけで、その地域の捨て方が母国語で分かるアプリを企画した。
- 一次審査・二次審査・ブラッシュアップを経て、最終選考でファイナリストに。
- 使いやすさにこだわるあまり、事業として詰めきれなかったのが一番の反省。その悔しさが、今の TaviNote につながっている。
01 — PHASE 1 · PROPOSAL
YouTube の1本の動画から生まれた企画書
日本に住む外国人の方が、日本のごみ分別の細かさに驚き、最初はとても苦労したと語っている動画を見たのが、すべての始まりでした。ルールが複雑で理解できずに戸惑ったり、正しく出せずに周囲から注意を受けたり。言葉の壁によって、毎日の生活の基礎が大きなストレスになっているという現実がありました。
ごみの分別ルールは自治体ごとに違い、しかも頻繁に変わります。紙のガイドブックや人の手で伝えるには限界がある。そこで、「写真を撮るだけで、いま、その場所の自治体ルールに沿った捨て方が母国語ですぐ分かる」アプリ『EcoNavi(エコナビ)』の企画書を作り、一次審査に応募しました。

02 — PHASE 2 · BUSINESS PLAN
「便利」から「事業」へ踏み込む創業計画書
一次審査を通過したあとの二次審査では、アイデアや機能だけでなく、実現できるか、続けられるかを問われる『EcoNavi 創業計画書』とエントリーシートを作りました。
必ず向き合う必要があったのは、2つの問いでした。
Q. AI が間違えたとき、誰が責任を取るのか?
AI を「正解を押し付ける装置」ではなく、判断のサポーターと位置づけました。画面には常に自治体の公式情報へのリンクを出し、使う人からの修正報告でデータを良くしていく参加型の仕組みにしました。
Q. Google レンズのような既存のツールでは駄目なのか?
Google レンズは「それが何か」を教えてくれるだけ。EcoNavi は位置情報と地域のルールを掛け合わせて、「いま、ここでどう捨てるか」という行動まで返すところに価値を置きました。
困っている個人から、月額 370 円をいただく
違反ごみの対応に困る不動産管理会社や自治体からいただく
ごみを捨てることに個人がお金を払うのは、思っていたよりずっとハードルが高い。そこで、入居者への説明に悩む不動産管理会社や、外国人の支援に取り組む自治体に向けた形へ、舵を切る足がかりを作りました。
03 — PHASE 3 · BRUSH UP
スライド作りと、審査員からの熱い講評
本選に向けて、プレゼン資料を徹底的に磨きました。想定される質問と答えを一つずつ書き出しながら台本を削り、発表で大事なところを絞り込んでいきました。
ブラッシュアップ審査のスライド
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ブラッシュアップ審査では、審査員の方々から具体的で熱のこもった講評をいただきました。褒めていただいた強みと、突きつけられた本質的な課題の両方が、その後の大きな道しるべになりました。
審査員 A
「スマホを使ったゴミの分別という発想はありそうでなかったですね。対象者は在日外国人だけでなく、サービスが広まれば全世代・全国民、高齢者、障害を持った方たちにも有効だと思います。仕組みは完成度が高いですので、実証させてみるともっとフィージブルになるはずです。」
審査員 B
「当事者の目線から課題を捉え、『不安→安心』へ導く明確なビジョンが軸となり、300万人強の在日外国人という社会課題性もよく伝わります。収集日通知・多言語・カメラの連携で“即時性”を実現する導線は明確な差別化であり、ポイント/バッジで継続性に踏み込む発想も素晴らしいです。個人開発でここまで形にしている実行力も強みです。一方で、自治体ルールの収集・更新、誤判定時の責任・免責、個人情報の取り扱いなど課題も多く、自治体や不動産会社などとの連携が大切です。プレゼン資料は非常に分かりやすかったですが、発表時の言葉の途切れで聞き取りづらい部分があった点は惜しかったです。」
審査員 C
「『AIで社会をやさしくする』ことを体現しています。ただし、社会課題の“深さ”に比べて、ビジネスモデルの“具体性”はさらにブラッシュアップする必要があります。まずは『外国人×特定地域』など狭い範囲で実ニーズを重ね、課金モデルと継続性の実データを取ってみてください。これからは“個人開発者”から“チームを率いる起業家”への脱皮が鍵です。同じ志を持つ仲間や協力者を巻き込み、EcoNaviを社会インフラとして育ててください!」
04 — PHASE 4 · FINAL
最終選考の舞台と、痛感した2つの反省点
迎えた最終選考。経営者や投資家の方々が審査席に並ぶ大きな舞台で、5分間のピッチに登壇しました。実際に使ったスライドです。
最終選考 5分ピッチのスライド
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最終選考を終えて痛感した、率直な2つの反省
直感的な UI やデザイン、使い心地、やさしさといったプロダクトのこだわりに夢中になり、続けられる収益の形や、事業としての計画を深く詰めきれていませんでした。
限られた5分に収めようとするあまり、大事な背景や熱量、EcoNavi の可能性の細かいところを削りすぎて、本当に伝えたかった芯の魅力を届けきれませんでした。
発表を終えて、真っ先に来たのは悔しさでした。自分に足りないところが、これ以上ないくらいはっきり見えたからです。それでも、同じ舞台に立った仲間や、本気でアドバイスをくれた審査員の経営者の方々に出会えたことが、この半年で一番の収穫でした。
05 — PHOTOS
写真



06 — WHAT I LEARNED
やったこと・学んだこと
- 当事者の困りごとから始める1本の動画で見た「言葉の壁」が出発点でした。誰が、どんな場面で、なぜ困っているのかを具体的に描けたことが、審査員の方々にも伝わった一番の強みでした。
- AI の弱さを、仕組みで支えるAI はいつか間違えます。だから正解を押し付けず、公式情報へのリンクと修正報告で支える「判断のサポーター」にしました。技術の限界まで含めて設計することを学びました。
- 「誰がお金を払うのか」を最後まで考える個人課金から B2B / B2G へ見直したように、良いプロダクトでも、払う人が決まらなければ続きません。使いやすさと同じくらい、事業の形を詰める必要がありました。
- 限られた時間で伝える取捨選択5分に収めるために削りすぎて、芯の魅力まで落としてしまいました。何を残し、何を捨てるかを先に決めて、繰り返し声に出して練習することが大事だと痛感しました。
- 仲間を巻き込む「個人開発者から、チームを率いる起業家へ」。審査員の方からいただいたこの言葉は、今も自分の課題です。
この半年の挑戦と反省が、「誰かの困りごとを解決するプロダクトを、最後まで作りきって届ける」という、自分の個人開発の原点になっています。ここで痛感したことを持って、いまは TaviNote を自分で開発・公開し、使う人の声を聞きながら更新を続けています。
ここまで読んでくださって、
ありがとうございました。
